ワイルド系のベタのジャイアントとしては、以前このコラムでもマハチャイ・ジャイアントを紹介して来た。
ジャイアントのベタとしては、プラカットのジャイアントが昔から存在し、その改良は現在も続けられ、様々な品種が紹介されている。
ワイルド系のジャイアントは、こうしたプラカットのジャイアントとは全く異なる系統で、作出経緯も異なっている。
名前だけ聞くとプラカットのジャイアントのように、さぞ巨大で見栄えがする魚だと考えるが、実際のところはノーマルのワイルドよりもやや大きいぐらいなので、過大な期待はしない方がいいだろう。
マハチャイ・ジャイアントがリリースされて、似たようなジャイアント系が続いてリリースされるかと考えていたのだが、2022年の春にスマラグディナ・ジャイアントがリリースされるまでは、ワイルド系のジャイアントは作出されなかったようである。
2022年春にコロナの規制が緩和されたタイに戻り、勇んでチャトチャックにベタを見に行った。
数あるプラカットのニューカラーには目もくれず、まず向かったのワイルド系中心のショップである。
久々に会い、お互いの健康を喜び挨拶を交わした後、これはどうだとドヤ顔で見せられたのが、スマラグディナ・ジャイアントであった。
確かにサイズは大きく、フォルムも美しい個体が多かったが、マハチャイ・ジャイアントに比べるとややサイズ的なインパクトは弱かったのが正直な感想である。
とは言え、久々のタイで出会ったワイルド系のベタである。お勧めされたら買わない訳にはいかない。
聞くと、ちゃんとペアでの販売だそうで、価格も手頃であった。
と言う訳で、モデルを3ペア購入した。
さすがに大きく育っているだけあり、各ヒレの伸長具合も素晴らしく、カメラマンとして撮影意欲の高まる魚であった。
色彩も美しく、尾ビレの中央部もスペード状に伸長し、見事である。
店主にこの魚の詳細を尋ねると、ブリラム産のスマラグディナを繁殖させるうちに現れた大型個体を選別交配して作出されたものだと言う。
他の品種との交配は行なっていない、純血のブリラム産だと強調していた。
確かにこのスマラグディナ・ジャイアントを見た際に、ブリラム産っぽいなと感じたので納得である。
タイのワイルド系のベタ好きの間でもブリラム産のスマラグディナの人気は高いようで、改良品種もいくつか作られているようである。
スマラグディナ系のジャイアントで、もう一つ紹介したいのが、ギター・ジャイアントである。これは2022年の10月にタイを訪問した際に、出会った魚である。
いつものようにワイルド系のショップで新しい魚がいないか物色していたところ、店主にギター・カーボンと一緒にお勧めされた魚である。
このギター・ジィアント、その日の朝に知り合いから仕入れてお店に並べたばかりで、まだ誰にも買われていないと言う話であった。
聞くとかなり良い値段だし、まだメスはリリースされずにオスのみと言うのも気になった。まだタイに来たばかりで、部屋に撮影用の水槽のセッティングも終わっていない状況だったので、少し購入を考えてしまった。
だが、今買わないとこの美しい個体が誰かに買われてしまうと考えたら、買わない訳にはいかない。
ギター・カーボンを2ペアとギター・ジャイアントのトップのオス個体を2匹選ばせて貰った。ワイルド系の魚は、どの個体も似たような物と思われる方も多いだろうが、個体によって色彩、フォルムも異なるので、撮影の場合のモデル選びは大切である。
特に今回のギター・ジャイアントは、今まで見てきたギターの中でもスペードテールの伸長具合が素晴らしく、物凄く魅力的な個体であった。
たぶん今自分が選ばなかったら、間違いなくその日のうちに他のマニアに奪われてしまった事であろう。こ
のギター・ジャイアント、そのサイズは以前に入手したスマラグディナ・ジャイアントより一回りぐらい大きく、誰が見てもジャイアントの名前で納得する個体であった。
飼育の際にも、いつもプラカットなどに使用している容器よりも一回り大きな物が必要だった程である。
このギター・ジャイアントの詳細を尋ねたら、これも別系統の血は入れずに、ギターのスペードテールの中から大型の個体を選別交配して作出したものだそうだ。まだリリースされたばかりで、メスが販売されていないのが残念だったが、しばらくすればメスもリリースされる事を期待したい。今回紹介した2品種以外にも、これからジャイアントと呼ばれる大型個体の系統はワイルド系のベタにも出てくる事であろう。