写真・文:山崎 浩二
1963年岩手県生まれ。日本大学農獣医学部水産学科卒業。
熱帯魚などの水棲生物の撮影を中心に活動し、特に小型美種の美しい色彩を再現する撮影技術は国内はもとより海外からも非常に高く評価されている。
また東南アジアを中心としたフィールドにも明るく、ライフワークともなっている。
著書に『世界のメダカガイド』『淡水産エビ・カニハンドブック』(文一総合出版)、『たのしいカメ・メダカ・オタマジャクシ・ザリガニ・ヤドカリ』(主婦の友社)、『熱帯魚アトラス』(共著・平凡社)その他多数。
今回はタイトルにある本題に入る前に少し話しておきたい事がある。恒例の春のタイの滞在を終えて日本に帰国した直後、6月11日の朝、タイの相棒のトンから朝に電話がかかってきた。朝の4時ごろにチャトチャックのベタのお店が集まって…
ここのところベタの本場タイのベタ市場を見ても、小さなニューフェイスの登場はあるものの、以前のコイベタやキャンディのような大型のニューフェイスの登場は見られない。数年前は心ときめかせて見ていたキャンディも、量産された事から…
2024年5月 公開
魚の色彩の好みは国民性によるところも大きい。日本人で言えば日本の国旗の配色でもある紅白は非常に好まれる。これは縁起の良い色彩と言う点もあるだろう。ベタの本場タイでは、タイフラッグと呼ばれるタイの国旗の配色である白と赤と青…
2024年4月 公開
このコラムでも何回か書いてきたが、ベタの本場タイでマニア達が最も熱くなっている品種はプラカットと呼ばれるショートフィン・タイプのベタである。これはタイで開催されるベタのコンテストを見れば明らかで、出展されている魚の半分以…
2024年4月 公開
2023年秋、いつものようにタイへ渡航してすぐにチャトチャックのベタの店が集まっている区画へと足を運んだ。すでに30年以上通っているこの薄汚れた区画に来るとホッとしてしまう。この場所を潰して再開発を行うと言う計画もあった…
2024年4月 公開
このコラムでは今までに数多くのワイルド系の改良品種を紹介して来た。その多くはチャトチャックのワイルド系に強いショップで見つけたものがほとんどである。それらのお店では、自分の好みが完全に理解されているので、ニューフェイスが…
2023年10月 公開
このコラムで紹介するベタはワイルド系やプラカットが多い。これは筆者である私の趣味によりところも大きいが、現在のタイのベタ市場の動向によるものである。新しい品種がリリースされたら出来るだけ早くそれを紹介したいのである。 品…
2023年10月 公開
アバターと言うベタの品種は、誰もが分かるように有名映画のタイトルから名付けられたものである。特にインドネシアで作出された品種に多いのだが、アバターの他ヘルボーイやアルマゲドンなど映画のタイトルから名付けられている。ベタと…
2023年9月 公開
2018年辺りから人気のコイベタに取って代わるように普及していったニモベタであるが、その強烈な色彩から一時期は人気を博したものの、最近はかなりその人気も落ち着いて来ている。日本のアクアリウム市場では2022年辺りから動き…
2023年3月 公開
本コラムでは、エイリアン・ゴールドは第69回と第77回の2回紹介してきた。新品種の紹介としては当時納得して執筆したのだが、自分の頭の中ではどこか本当にエイリアンと呼んでいいのかと言う疑問が払拭出来ないでいた。2022年の…
2023年3月 公開
以前このコラムで2020年にタイで見たブルー&ブラックのプラカットを紹介した。その際の写真のモデルはチャトチャックのあるショップで見つけた個体であった。このショップではかなりグレードの高いブルー&ブラックのプラカットを中…
2023年2月 公開
ワイルド系のベタのジャイアントとしては、以前このコラムでもマハチャイ・ジャイアントを紹介して来た。ジャイアントのベタとしては、プラカットのジャイアントが昔から存在し、その改良は現在も続けられ、様々な品種が紹介されている。…
2023年1月 公開
2022年は、タイ政府がコロナに関する規制を撤廃したお陰で春に続き秋にもタイに取材に出かける事が出来た。この原稿を書いている2023年1月9日現在、タイ政府は一度撤回したコロナへの規制を再度強化したために観光業界に混乱を…
2022年12月 公開
このコラムでベンジャロン・イエローからそれを元に改良されたスプレンデンス・ブルーを紹介した流れで、さらにベンジャロン・イエローを使ったワイルド系の改良ベタを紹介しよう。初っ端から種明かしをしてしまっているが、今回紹介する…
2022年12月 公開
タイに滞在中は毎週数回巡回するチャトチャックのベタ通り、その中でも念入りにチェックするのがワイルド系の魚を扱っている2軒である。個人的にはやはり改良品種よりもワイルドやワイルド系の魚の方が好みであるのは、昔から変わらない…
2022年11月 公開
コロナ渦のために丸1年タイのベタの様子を見られなくて、ブランクが出来てしまった。これは自分にとって非常にストレスであったが、新しい気持ちでベタを見直す良い機会だったかもしれない。そのために様々な規制が解除された2022年…
2022年10月 公開
前回のコラムではコイベタのカッパーを紹介したので、続いてキャンディ(ニモ)のカッパーを紹介しよう。コイベタのカッパーは2020年にタイを訪問した際に既に作出され市場で見る事ができた。その際の飛び抜けた価格の事は前回のコラ…
2022年10月 公開
新型コロナウィルスの規制のために2021年は全くタイに渡航できなかった。30年近くタイに毎年のように取材に通って来たが、全く渡航できなかったのは初めての事である。まあ、このような事態になることは誰も予想できなかったし、防…
2022年7月 公開
コロナによる渡航制限などのため、自分としては30年近く毎年訪問していたタイへの渡航が途絶えてしまい、2021年のタイのベタの情報をお届けする事が出来なかった。そのため最後にタイを訪れていた2020年の9月までに撮り貯めて…
2022年6月 公開
日本のネットやタイのベタ市場を見ていて、たまにあれっ?と思う魚に出会う事がある。と言うのは、販売されている魚とそれに使われている販売名が一致していないと思われる物が見かけられるためである。そうした魚が多いのが、今回紹介す…
2022年4月 公開
このコラムでは過去に赤い眼をしたベタをアルビノと呼んで紹介して来た。ところがこうした赤い眼のベタを数多く自分の目で見て、またタイのブリーダーや日本のハイマニアからの情報を聞くにつれて、この表現型の魚をアルビノと呼ぶのは適…
2022年1月 公開
数多くのベタの小売店が立ち並んでいるバンコクのサンデーマーケット。小売店はどのように商品のベタを仕入れているのだろうか?それは店によって大きく異なっている。結構良く見かけるのが、ファームも営んでいて、そこから売り物の魚を…
2022年1月 公開
今まで数多くのベタを紹介して来たこのコラムであるが、まだ一度も取り上げていない品種がある。それが今回紹介するチャーン・ベタである。本種はタイで作出された品種で、その大きな胸ビレが特徴である。現地ではフー(耳)チャーン(象…
2021年12月 公開
今回は、まず魚の通称名(商品名)についての話から始めよう。以前からこのコラムでは、マハチャイエンシス、スマラグディナ、スティクトスの3種類を交配して作出されたハイブリッドの品種を、トリプルクロスの名称で紹介してきた。と言…
2021年10月 公開
このコラムでは、タイの自然やベタ・シーンの様子をリアルタイムでお届けしようと務めていた。ところがこのコロナ渦のためにタイでの滞在にも制限があり、2020年の9月末に後ろ髪を引かれる思いで日本に帰国した。一度帰国してしまう…
2021年3月 公開
2020年の7月、コロナ渦の真っ最中のタイのバンコク。日本と異なり、タイ政府のコロナへの対策は厳しく、そのためか新規感染者も目に見えて減少し、体温の検査やマスク着用の義務はあるものの平常に近い生活は可能になっていた。チャ…
2021年1月 公開
メンダーと聞いて、すぐに何の事か頭に浮かぶ人は、相当なタイ通であり生き物好きだろう。メンダーとは、タイ語でタガメの事である。ただし、タイ語でメンダーと呼ぶ生き物には、実は2種類がいる。1種類はタイワンタガメ、これは田んぼ…
2020年8月 公開
2020年4月、コロナ禍のために活気のないチャトチャックに行くと、数件の店だけが魚の餌やりや世話のために店を開けていた。流石に生き物を扱う店に、その世話などを認めない程無慈悲なタイ政府ではないようだ。この辺りには敬虔な仏…
2020年7月 公開
ある時、期待もせずにサンデーマーケットの巡回ルートのお店を覗いた際に、一番目立つ位置に目新しい魚を見つけてしまった。それはタイでは、パカット・チンと呼ばれるベールテールのベタであった。日本では、トラディショナル・ベタを略…
2020年6月 公開
チャトチャックのベタ屋には、大きく分けて2つのタイプがある。ひとつは一定の場所に店舗を構えているタイプで、扱っているベタの数も多い。もう一つは決まった店舗を持たずに、屋台のように移動可能な小規模なショップである。こうした…
2020年5月 公開
バンコクに滞在中は、いつもなら週に数回は通うチャトチャック市場だが、タイも新型コロナウイルスのために非常事態宣言が出され、餌などを扱っている店以外は営業禁止中(日本の営業自粛とは違い、罰則あり)である。なので、ここのとこ…
2020年4月 公開
日本程の感染者が出ていないものの、ここタイも新型コロナウイルスの影響で現在大騒ぎである。現在のタイ政府は軍政であり、日本の不甲斐ない政府のように弱気ではない。かなりの強気で新型コロナウイルスに対して厳しい対策を打ち出して…
2020年3月 公開
2019年の6月、例によってタイに滞在中の事である。タイ西部カンチャナブリ県のサンクラブリという場所を訪れていた。この場所は自分がタイのフィールドワークを始めた頃から、気に入って訪れている場所である。自然が豊かで、淡水魚…
2020年2月 公開
2019年の秋、いつものようにバンコクに戻り、何か魚関係で面白いネタがないかとチャトチャックを彷徨っていた。魚関係と言っても、主にベタになるのだが、2019年は特に目立った新品種のリリースとかもなく、ベタ業界は比較的平穏…
2020年2月 公開
2019年秋、台風のため成田空港からのバンコク行きの飛行機の予約を何度も変更させられるというトラブルに見舞われ、予定よりも4日遅れでやっとの事でバンコクに到着した。まあ、作年の台風による各地の被害は大きく、被災した地域の…
2020年1月 公開
コイベタが作出された頃から気になっていた疑問がある。それは、新品種の市場へのリリースの順番である。コイベタが人気を博していた際、まず最初に市場にお目見えしたのは、当然のごとくショートフィンのプラカット・タイプの魚であった…
2019年10月 公開
このコラムでは、しばらくベタの話題ばかりだったので、ちょっと趣向を変えて今回はカニの話題をお届けしよう。 このコラムの読者ならご存知かと思われるが、東南アジアの淡水魚の他に自分の興味は淡水の甲殻類である。昔はその中でも淡…
2019年7月 公開
今回も暑い中チャトチャックのベタ通りを定期チェックしていた。以前からも自分の仕事は、この界隈のベタ屋の間では理解されていたのだが、Betta2020を出版してからより理解されたようで、新しい魚が入ると以前よりも声がかかる…
2019年5月 公開
久々に大作とも言えるベタ本を製作したもので、もうしばらくベタを見たくないと思ったのは正直なところである。ところが、いざバンコクに戻ってみると、次作の予定はないのだが、いつものように新しいベタを探し求めてしまう自分がいたり…
2019年4月 公開
もう日本でも販売されているので、手に取って頂いた方も多いかもしれないが、久々にベタ関係の大型本を製作した。 Betta2020と言うタイトルの本で、改良品種のベタを2020個体オールカラーで紹介している。 本のタイトルは…
2019年3月 公開
もうそろそろ公表しても大丈夫だと思うので、このコラムでも書かせてもらうが、現在ベタの書籍を製作中である。そこではスプレンデンス・グループのワイルド・ベタと改良品種のベタを紹介する予定なのだが、そこに使うための写真で納得が…
2018年11月、例によってバンコクのサンデーマーケットのベタ屋を巡回しながら魚をチェックしていた。ここのところ、改良品種はニモ関係ばかりで面白くない。かと言って、ワイルドベタ関係は、そうそうニューフェイスの登場はない。…
ニモやキャンディ、ギャラクシィの登場で、ちょっと目立たなくなったコイベタだが、まだまだタイでも人気は健在である。ただし、マニアの目も肥えたため、以前のようにコイベタなら何でもよしと言うのではなく、かなりクオリティが高くな…
2018年10月、例によってタイのサンデーマーケットをベタを探してうろついていた。まずは通称ベタ通りと呼ばれる、ベタ屋が並んだ一角から攻めるのだが、今回は特に目新しいベタを見つける事ができなかった。タイではまだニモやキャ…
最近では、コイベタの進化系であるニモやキャンディと呼ばれる品種が、タイでも日本でも大変人気が高い。またギャラクシィと呼ばれる系統もコイベタの進化系である。数年前に一大ブームとなっていたコイベタだが、このように新しい交配な…
6月中旬、雨季の始まったタイ西部カンチャナブリのミャンマー国境へと撮影に出かけた。とは言え、川の水は連日の雨で増水し、しかも泥濁り、この状況では魚の撮影は不可能である。 雨が降っている環境は撮影には全く適さないが、生き物…
今年に入ってから、タイのベタ・シーンはニモベタ一色に染まっていると言ってもよいだろう。 3月にタイに来た際は、珍しさもあって非常に目を引いたが、5月頃にはやや食傷気味になって来た。 チャトチャックのベタ専門店の店先は、ど…
2018年3月にタイに来て、最も注目すべきベタは、前回のこのコラムで紹介したニモ・ベタであった。このニモ・ベタは派手過ぎてインパクトが強いが、自分的にはもうひとつ気になるベタがいた。ワイルド・ベタのクロス系なので、そう派…
2018年の3月、毎年恒例のスギ花粉からの逃避のためにタイを訪れた。すぐに花粉症の症状がなくなる訳ではないが、1週間もすればあれだけ辛かった眼の痒みや鼻詰まりなどが、嘘のように解消される。やはりこの時期はスギのない外国で…
2017年11月、タイ南部へ魚の調査に出かけて来た。その際の第一の目的が、シンプレックス・タイプⅡと呼ばれる魚の生息場所の確認であった。ノーマルのシンプレックスの生息するタイ南部のクラビと言う町から60km程離れたアオル…
昨年12月にタイで購入し、撮影が済んだプラカットを日本の自宅に持ち帰り、2ヶ月程飼育してみた。通常は持ち帰った撮影済みのベタはすぐに人に譲ったりして、長期飼育することはない。なぜ今回2ヶ月も飼育を続けたかには、ある理由が…
2017年秋の訪タイの際に気になったベタは、前回このコラムで紹介したインベリスの改良品種の他にもうひとつある。それはコイベタのクラウンテールである。もうコイベタが作出されてからかなり経つ。最初にハーフムーンやデルタテール…
毎年恒例となった秋のタイ訪問である。バンコクに着くと翌日はすぐにチャトチャックと呼ばれるサンデーマーケットに顔を出すことにしている。このサンデーマーケットには数多くのベタ専門店があるが、結構入れ替わりは激しいようで、来る…
ここのところ日本で数年続いたコイベタ人気もやや落ち着きを見せている。それに伴いベタの本場であるバンコクのショップでも、以前のようにコイベタばかりが展示されている状況は見なくなった。現在はコイベタの中でも厳選された個体だけ…
見慣れた魚でも飼い込んでいると新たな発見は多々あるものだ。それが飼育の醍醐味でもある。1年程前にタイの東北部ウドンで採集して来たオリジアス・メコネンシスで新たな発見があったので、ここで紹介しよう。 日本のメダカを含むオリ…
タイに旅行した多くの人は、まずバンコクのスワナプーム国際空港へ飛行機で辿り着く事だろう。そこから有名な観光地であるプーケットやチェンマイなどへと乗り継いで向かう。タイではこうした飛行機を使っての移動の他、電車バスや車を使…
ここ数回このコラムでハイブリッドのワイルド改良系ベタや純系ワイルド改良系ベタを紹介してきた。元々自分はワイルド好きであるため、以前から数多くの改良品種があるベタの中でもプラカットに一番興味を持っている。そうしたワイルド好…
昨年の10月末頃、タイ東北部のブンカンにあるブンコンロン湖に撮影と採集のために出掛けて来た。目的はこの辺りにだけ生息するベタ・スマラグディナ・ギターの生息状況を確認するためであった。まだ若い個体ながらも目的のギターはすぐ…
ここ2回ほどこのコラムでハイブリッドのワイルド系改良ベタを紹介して来た。グッピーでも大きなヒレの改良品種よりもショートテール系の改良品種の方に興味がある。ベタでもハーフムーンよりもプラカットの方が好きである。このように元…
3月になり、日本ではスギ花粉の飛散が始まる頃、毎年日本から逃げ出して東南アジアで過ごす事にしている。目が痒くて、鼻水も止まらず、頭もボーッとした状態では、撮影も原稿執筆もはかどらない。幸い毎日会社に通わなくてもよいフリー…
2016年の春頃、スマラグディナのギターに関してあれこれ調べていた際に、YouTubeで気になる動画を見つけてしまった。そこにはマハチャイエンシスとスマラグディナ・ギターとスティクトスのハイブリッドとされるベタの闘争する…
2017年の1月、例によってバンコクのサンデーマーケットに魚を見に行った。ここは魚関係のショップが多数あり、魚好きには眺めているだけでも楽しい楽園のような場所なのである。ただし、バラック小屋のような並びの店が続くばかりな…
2016年の4月、例によってバンコクのサンデーマーケットのベタ屋を覗いていると、ワイルド・ベタ主体のお店で新しいベタが入荷したから見ていきな!と誘われた。やや暗めのガラスケースを覗くと、そこには元気にフレアリングするスマ…
熱帯に生息する昆虫と言うと、日本に生息している種類よりも大型のイメージを持たれる事が多い。実際、タイに生息するタイワンタガメなどは日本産の種類よりもひと回り以上大型である。以前にこのコラムで紹介したインドシナオオタイコウ…
第36回 「ベタ・スマラグディナ ”ブリラム・スーパーグリーンパワー”」
今年の夏前頃、ひょんな事からYouTubeで非常に気になる魚の動画を見つけた。それは自分のライフワークでもあるワイルド・ベタの動画であった。タイの東北部からラオスにかけて生息するベタ・スマラグディナなのだが、色彩や尾びれ…
以前、タイの水辺をメインにフィールド撮影をしていると話しをしたら、ある人からインドシナオオタイコウチを見た事がありませんか?と尋ねられた事がある。フィールドでは魚や水草だけでなく、当然水生昆虫にも興味があり、撮影対象とし…
昨年の10月、数年前から採集や撮影に通っているタイ東部タラットの川へ友人を案内した。いつものように道路を降りて、日差しを避けるために橋の下に荷物を置いて、周辺を探索していたところ、橋の下の一角に見慣れない水草の姿が!この…
2015年の11月末、2ヶ月のタイでの滞在を終え日本に帰国するためにバンコクのサンデーマーケットに挨拶のために出掛けた。さすがに10年以上ここで仕事をしていると、知り合いも増えて、様々な情報もいち早く入って来るようになる…
2015年の8月、自分の相棒であるタイのトンから数枚の写真が送られて来た。そこには見慣れないカニの姿が。どうやらいつもと違う場所に行き、そこで新たな種類のカニを見つけたようである。そこには数種類のカニが交尾をしている姿も…
ご存知のように、昨年辺りからコイベタが日本では大人気になっている。そのため、タイに出掛けると言うと珍しい色彩やレアな個体を探すように頼まれる事が増えた。それ自体は、自分の仕事にとっては助かる面が多い。と言うのは、珍しい色…
ここ数年静かなブームなのがスネークヘッドの仲間である。インドやミャンマー方面から色彩的にも魅力的なニューフェイスが輸入されているのが、その人気の理由であろう。観賞魚の場合、決まった定番種だけが輸入されるジャンルは飽きられ…
色とりどりのベタの改良品種の元となっているのが、タイの生息する野生種のベタ・スプレンデンスである。改良種よりも小型でスリムで、色彩的にもやや地味である。知らなければ同じ種類とは思わないだろう。この野生種のスプレンデンスを…
タイのテナガエビというと一般の方はブルー・ロブスターとも呼ばれる食用の大型種オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii)を思い浮かべる事だろう。本種はタイのレストランならほとんどの場所で食べる事が…
20年程昔だろうか、東南アジアのフィールドに魅力を感じて通い始めた頃である。バンコクで熱帯魚のシッパーを営んでいるK氏からはいつもネタを提供して頂いていた。ある時話しをしていたら、そのK氏が真面目な顔をしてタイには30c…
ベタの本場タイのベタ市場でコイ(KOI)という名前が使われるようになったのは5~6年程前だろうか?初期のコイベタ(Koi-Color Short Tail Betta)は色彩的にマーブルと呼ばれる魚の中で錦鯉の色彩を彷彿…
養殖されている観賞魚の多くには突然変異で色素が抜けたアルビノと呼ばれる品種が数多く知られている。しかし、ベタだけはアルビノの品種が一般的でないというか、見つけるのさえ非常に困難である。それには訳がある。ベタにおける完全な…
以前にこのコラムで紹介したが、その際にはまだ未知だった情報なども多い。今回は新たに得られた情報を改めて写真と共に紹介したい。 まずは第7回「空中で生活するカニ」に関してである。 ゲオセサルマ・クラティング Geosesa…
ここのところ東南アジアの甲殻類、特に淡水のカニに対しての興味が膨らんで来ている。元々甲殻類好きで淡水のエビ専門であったのだが、カニの方も知れば知る程興味深い。東南アジアでフィールドワークをしていると、魚やエビと一緒に必ず…
自分がフィールドのホームグラウンドにしているタイにはバディス属の魚が3種類生息している。タイ西部のカンチャナブリに生息するバディス・クワエ(Badis khwae)、タイ東北部ノンカイ付近に生息するバディス・ルバー(Ba…
バルブッカと言っても、たぶん相当な熱帯魚のマニアでないとピンと来ないであろう。分類的には、ローチの仲間とヒルストリームローチの中間に位置する魚のようである。動きや生態だけを見ていれば、ロケットフィッシュなどのホマロプテラ…
今年4月、最乾期で猛暑の中カンボジアに撮影のために出かけて来た。乾期のために魚の採集などに適している細流は水がなくなりカラカラ状態。何とか水が残っている細流も流れが淀み、水質悪化のために魚がいない状況であった。せっかくカ…
タイ西部のカンチャナブリはミャンマーとの国境も近く、生物層的にも非常に興味深いエリアである。かなり以前からこの場所には頻繁に足を運んで撮影や生物の観察を行っている。このエリアに行く際には、以前このコラムでも紹介したカニの…
以前、このコラムでタイのチャーン・グッピーを紹介した。その後商業ルートでも日本に入荷し、ダンボ・グッピーの商業名で人気を博しているようだ。個人的なこだわりなのだが、ここではタイでの商業名であるチャーン・グッピーの名称で呼…
第17回「”ラスボラ”・ソムフォングシィ(Trigonostigma somphongsi)」
図鑑などで名前は知っているけれども実物を見た事がないという魚の代表が、この”ラスボラ”・ソムフォングシィだろう。現在はラスボラ属(Genus Rasbora)からトリゴノスティグマ属(Genus Trigonostigm…
第16回「ベタ・スマラグディナ(Betta smaragdina)」
このコラムではスプレンデンス・グループに属するワイルド・ベタを今までにもいくつか紹介して来た。ボルネオなどに生息する色彩的にも派手な他のワイルド・ベタは紹介しなくてもそこそこの人気はあるのだが、このスプレンデンス・グルー…
毎年春の3月から5月ぐらいまでは、東南アジアに撮影に出かけるようにしている。その理由は、日本ではその時期スギ花粉が大量に飛散しているためである。タイやラオス、カンボジア、ミャンマーなどにはスギは自生していないので、スギ花…
ベタ属の中でも比較的種類数の少ないスプレンデンス・グループに昨年新たに2種類の新種が加わった。1種類は前回のこのコラムで紹介したベタ・マハチャイエンシスBetta mahachaiensis、もう1種類はベタ・シャムオリ…
ちょっとタイミングがずれてしまい申し訳ないが、ベタsp.“マハチャイ”としてワルド・ベタの愛好家には馴染みだったベタが、昨年10月Betta mahachaiensisとしてやっと新種記載された。そこで今回はこのベタ・マ…
タイ東部のカンチャナブリはミャンマーとも国境を接しており、興味深い魚類層なので、よく撮影・採集に行く場所である。ただし、カンチャナブリと言ってもかなり広く、自分がフィールドワークに行く場所は、タイ最西端のサンクラブリ(S…
昨年の1月末、日本からOカメラマンが来タイし、一緒にカンボジア方面へと魚の探索に出かける事になった。自由に動けるタイに比べると治安も悪く、場所によっては地雷がまだ残っているカンボジアは、まだまだ淡水の熱帯魚に関しての情報…
昨年の11月、ラオスのサワナケートに撮影に出かけた際に市場でヤマガニが食用として売られているのに出会った。自分の場合、新しいフィールドを訪れた際には近隣にある市場に出向いてみる事にしている。そこに商品として並んでいる魚や…
タイのバンコクからそう遠くない場所にマハチャイという地域がある。海に面したひなびた港町だ。魚好きならこの町の名前は聞き覚えがあることだろう。というのは、この場所のニッパヤシなどの生える汽水域からワイルド・ベタが発見され、…
昨年の秋、タイが洪水の被害に遭っていた事は日本の報道でも嫌という程放送されていたので、日本の方でもご存知だろう。ちょうどその最中、私はタイに滞在していた。ベタを初めとする熱帯魚のファームの多くは、バンコクから車で二時間程…
以前にこのコラムでインドネシアのゲオセサルマ属のカニを紹介した。自分がフィールドワークの基地としているタイにも本属のカニが2種類生息しているという。甲殻類好きとしては、ぜひこのゲオセサルマ達の自然での生活を見てみたいと思…
数多くの色彩やヒレの形が楽しまれているベタであるが、派手で大きな綺麗なヒレを持っているのはすべて人により作り出された改良品種である。あまり紹介される機会の少ない原種ベタ(Betta splendens)は、ヒレも小振りで…
今回ここで紹介するのは、インドネシアの淡水域に生息するゲオセサルマ(Geosesarma)属のカニである。以前この仲間はイワガ二科(Grapsidae)に置かれていたようだが、現在ではベンケイガニ科(Sesarmidae…
前回はプラカットを紹介したので、今回は今ベタの中で最も人気の高いハーフムーンを紹介しよう。このハーフムーン、日本では抜群の人気を誇るが、ベタの本場タイでは圧倒的にプラカットに人気の点で負けている。プラカットがタイで昔から…
今回はベタの本場タイのバンコクにあるサンデーマーケットで見つけた、夏にぴったりの色彩をしたプラカット達を紹介しよう。その前に、まずはプラカットって何?っていう初心者のために、ベタの品種をおおまかに解説するところから始めよ…
最近、アクアリウムの世界でも小型ボウズハゼの仲間は色々な種類が輸入されるようになり、アクアリストを楽しませている。 小型ボウズハゼの仲間は姿が美しいだけでなく、水槽内に発生する藻類も食べてくれるので、掃除屋さん…
今回ここで紹介するのは、昨年新種として記載されたばかりのオリジアス・ソンクラメンシスOryzias songkhramensisで、同属のミヌティルスO. minutillusやメコネンシスO. mekongensis、…