最近では、コイベタの進化系であるニモやキャンディと呼ばれる品種が、タイでも日本でも大変人気が高い。
またギャラクシィと呼ばれる系統もコイベタの進化系である。
数年前に一大ブームとなっていたコイベタだが、このように新しい交配などにより、新品種が作出され確実に進化を遂げている。
本家のコイベタ自体もまだまだ本場タイでも人気の品種だが、初期のコイベタとはかなり色彩等は変化して来ている。
これには、長年タイのベタシーンを見て来た人間であれば気付いているだろう。
自分は2013年頃からコイベタの撮影を続けているので、その写真の記録を見れば一目瞭然である。
初期のコイベタと現在のコイベタでは、ほぼ別物に感じられるぐらいの進化を遂げている。
その中には、もはやコイベタと呼ぶには抵抗のある魚も少なくない。
人の手にかかかった改良品種に進化と言う言葉を使うのは、生物学的には間違いかもしれない。
発展系と言う言い方の方がふさわしいのかもしれないが、ひとつの品種の年月の変化を表すには、進化系と言う言葉の方が実感できるで、ここでは使わせて頂く。
最近では、ベタ・コンテストでもコイベタの部門があったりして、コイベタのスタンダードも決められているようである。
ただし、このコンテスト的な視点と観賞魚の魅力としての視点と言うのは必ずしも一致しない。
コンテストで入賞する魚と、観賞魚として販売される魚の価値観が一緒ではないと言う事である。
例えば、コイベタのスタンダードでは青い色彩が入るとマイナスだそうである。
しかし、ベタのマーケットでは、見る人さえ気に入れば、青い色彩の入ったコイベタは高い評価を得ることができ、高価で販売されるのである。
今回、このコラムで紹介しているコイベタのほとんどは、コンテストのコイベタと言う視点からしたらマイナスの魚であるが、観賞魚として見たら魅力たっぷりの魚である。
もうコイベタと言うよりも、別品種して固定する方向に持って行った方がいいと思われるぐらいだ。
今回コイベタ・ブラックとして、黒い色彩が魅力的なコイベタを紹介しているが、これもこの特徴を残しながら改良を進めれば、十分人気品種となるような気がする。
しかし、黒い魚を好むと言うのは日本人の感覚で、タイではそう高評価は得られない。
ファッションと同様に、ここには国民性というか感性が大切なのだ。
まあ、魚の好みなんて女性の好みと同様に、人によって大きく異なる。
コンテストはともかく、観賞魚に関しては、飼育する個人が気に入った魚が一番なのである。
ベタに関しても、ブリーダーの数だけ魚の好みが分かれるので、これだけ形態や色彩の異なる魚が生まれたのであろう。
ちょっと脱線してしまったが、今回のこのコラムでは、コイベタの進化系の中から、最近個人的に気に入った色彩の魚を紹介する事にしよう。
あくまで個人的な好みなので、そこのところはご理解頂きたい。
クソ暑いタイのサンデーマーケットやベタ・ファームで、このように変わった魚を探して汗をかいている自分は、興味のない人から見ると変態に見えるらしい。
口の悪い友人からは、こうした王道から少し逸れた変わった色彩のベタは、変態ベタと呼ばれている。これは悪口ではなく褒め言葉と思いたい。
今回紹介するコイベタの写真を見て、その魅力に共感してもらえる変態仲間がいれば幸いである。