ニモやキャンディ、ギャラクシィの登場で、ちょっと目立たなくなったコイベタだが、まだまだタイでも人気は健在である。
ただし、マニアの目も肥えたため、以前のようにコイベタなら何でもよしと言うのではなく、かなりクオリティが高くないと売れなくなっている。
このコイベタ、ご存知のように色彩や模様が千差万別で、好みの魚は人によって大きく異なる。
ベタを選ぶ際のポイントは、タイ人と日本人で大きく異なる。
日本人はコイベタに対し、日本の錦鯉的なバランスの色彩を求めているようで、あくまでコイに似た色彩の個体を選ぶようだ。
対してタイ人は、そのような拘りがないので、美しく変わった色彩であればオーケーである。
よく入荷直後のベタ屋の店先で、タイ人とコイベタの争奪戦になるのだが、以前はあまり争いにならないコイベタがあった。
それが、ジャパンフラッグ・カラーの、紅白ベタ、丹頂ベタ、日の丸ベタなどと呼ばれる白地に赤のアクセントが入ったベタである。
日本人の自分にはたまらなく魅力的に見えるのだが、タイ人には食指が動かないようなのである。
やはり自分の国の国旗には愛着があるようで、タイの国旗に似た配色のベタが現れた際には、驚くべき高価格が付き、ネットでも話題になったのが記憶に新しい。
最近でこそ、このジャパンフラッグ・カラーのベタが日本人に高く売れることを学習したショップが扱うようになっているが、以前はいつも売れ残っていたので、入手は容易であった。
知り合いのブリーダーに、このジャパンフラッグ・カラーのベタは日本で人気があるので、量産した方が良いと提案した事がある。
しかし、彼曰く、このカラーリングは品種として固定は難しいので、偶然を期待するしかないそうである。
素人考えでは、白地の多いコイベタを繁殖させれば、難しくないようであるが、無地の市場価値のない魚ばかり出来てしまうようである。
ましてや都合よく赤がバランスの良い場所に発色する事は稀で、黒などの邪魔な色彩が現れてしまう。
と言う訳で、ジャパンフラッグ・カラーのベタは、偶然現れた魚からセレクトするしかない。特に丹頂と呼ばれる頭頂部に赤が現れる個体などは、超レアなので日本人には人気が高い。
以前はこのジャパンフラッグ・カラーのコイベタ、サンデーマーケットのベタ屋を回っていれば、比較的入手し易かったのだが、最近は値段がかなり上がって来てしまい、見つけても入手が難しくなってしまった。
市場があると思えば、強気の値段を付けるのが、商売の王道である。
この配色の魚が日本人に売れると言う情報は、買う側からすればタイのベタ屋には教えない方が良かったのかもしれない。 自分の場合、このジャパンフラッグ・カラーのベタの撮影がしたいと、知り合いのブリーダーに伝えたら、律儀でにいつも良い魚を見つけると撮影用モデルとしてキープしておいてくれる。 持つべきものは友人である。
このようにして、コツコツと撮影用のモデルを集めているのだ。
今回は、ここ数年で集めたジャパンフラッグ・カラーのコイベタを各種紹介しよう。
しかし、欲しくても入手は難しいので、知り合いのショップに無理言って困らせないで欲しい。