数多くのベタの小売店が立ち並んでいるバンコクのサンデーマーケット。小売店はどのように商品のベタを仕入れているのだろうか?それは店によって大きく異なっている。
結構良く見かけるのが、ファームも営んでいて、そこから売り物の魚を選んで来て並べている自家生産タイプの店である。
自分で生産しているだけあって魚も豊富で、価格も比較的リーズナブルである。
店に並んでいなくても、好みの魚を伝えると次回にファームから持って来て貰えると言うフットワークの軽さも嬉しい。また自家繁殖のために魚の系統等についても尋ねる事も可能だ。
こうした自家生産のショップの次に多いのは、提携しているファームがいくつかあり、そこから魚を仕入れているところである。複数のファームから仕入れているだけあり、品種の品揃えの多さが利点と言える。
こうした仕入れルートの他、もちろん日本の熱帯魚屋同様に問屋からの仕入れもある。見た目は普通の小売店と同じだが、業者向けに卸売り価格を設定している問屋も存在していて、こうした店を訪れて自分の目で魚をセレクトするのだ。
このような卸売りをする店の多くは、ガラスケースに魚を開けること事なく、ファームから届いたビニールパッキングされたままの魚を浮かせているケースが多い。
またガラスケースに浮かべる事もなく、届けられた発泡スチロールの箱に入ったままのビニール入りの魚からセレクトする場合も多い。
ケースに開けられた魚のように見易くはないため、魚のセレクトにはある程度の経験が必要である。こうした店には入荷の際には数多くのショップの方が訪れるために、もたもたと魚を選んでいると顰蹙を買ってしまう。好みの魚をさっさとセレクトして、次に待っている方に場所を譲るのは基本のマナーである。
自分はショップではないが、ベタの撮影のために魚を集めている事を理解して頂いているため、ショップの方と同様に相手して頂き大変に助かっている。
ファームから届きたてなので、店のオーナーでさえまだ全部の個体を確認していないため、発泡スチロールの箱の中にはかなりの率で掘り出し物が潜んでいる。特に他の人がまだセレクトしていない開けたばかりの箱は宝の山と言えるだろう。
今回、ここで紹介しているブルーリムのレッドアイは、こうした一番抜きの箱の中からセレクトした個体である。
バンコクに滞在していた際は、こうした卸売りのショップを巡回するのは毎週のルーティンであり、楽しみな仕事であった。
ある時、ふと目にした白地に青い縁取りの通称ブルーリムと呼ばれるプラカットの中に赤い眼をした個体を見つけた。自分の経験上、同じファームから届いた同腹の魚の中に同じような形質を持った魚がいる確率が高い。
同じ箱のブルーリムの個体をチェックしたところ、読みは大当たりで計5個体のレッドアイの個体をセレクトすることが出来た。長年ベタのセレクトをして来たが、一度に5個体もレッドアイの個体を見つけたのは初めてである。
レッドアイの個体は視力が弱く、体質的にも弱い個体が多いのだが、この時の個体はどれも視力も問題なく、他の魚とフレアリングする力強い個体であった。
通常このような個体は目ざとい小売店に抜かれて、そこそこの値段で販売される事が多いので、それを卸値で入手出来たのはラッキーであった。
それだけに撮影に力が入ったのは言うまでもない。レアなレッドアイのブルーリムの個体を堪能頂ければ幸いである。