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山崎浩二のSmall Beauty World

第81回 ギャラクシー・プラカット

2022年6月 公開

細かい光沢のある鱗が体側全体にバランス良く散りばめられた極上のギャラクシー個体である。銀河(ギャラクシー)と言う名称は本来このような表現型の個体に対し命名されたものなのだが、時代と共に変化してしまっているようだ。

日本のネットやタイのベタ市場を見ていて、たまにあれっ?と思う魚に出会う事がある。と言うのは、販売されている魚とそれに使われている販売名が一致していないと思われる物が見かけられるためである。そうした魚が多いのが、今回紹介するプラカットのギャラクシーと言う品種である。元々はコイベタから派生した品種で、体側に細かい光沢のある鱗を持っているのが特徴である。鱗が煌めくその姿を銀河の星に例え、Galaxy(銀河)と名付けられたのだ。

光沢のある白い鱗と共に黒や青のスポットもバランス良く混ざっており、良いアクセントになっている美しいギャラクシーである。ボデイやヒレの配色や体型も美しく、誰からも好まれるような個体と言えるだろう
赤を基調としたコイベタをベースとしたギャラクシー。光沢のある白から淡いブルーの鱗が美しいが、もう少し細かく散りばめられたようになっていれば更に美しかったであろう。

この魚が市場に流通するようになった当時は、特徴を非常に良く捉えた商品名だと感心した覚えがある。さてそのギャラクシー、その馴染みやすい名称と美しい姿からすぐに人気の品種となったようであるが、体側の煌めく光沢のあるラメ状の鱗を固定するのはやや難しかったようである。そのためバランス良く光沢のある模様が散りばめられた美しい魚は少なく、やや高価で取引きされていた。そうなると人気のギャラクシーという名前にあやかろうと、とてもじゃないがギャラクシーと呼べないようなグレードの魚にまで、その名前を付けて販売するショップやファームが出て来たのである。

体側の光沢のある白い色彩が混み合い過ぎて銀河と言うよりも星雲のようになってしまっているギャラクシー。肩の辺りのスポット模様は良いが、最近ではこうした表現型のギャラクシーが多くなってしまっているようだ。
この個体もタイの市場ではギャラクシーの名称で販売されている。体側の模様も既にスポットとは言えず、ギャラクシーと言うイメージからはかけ離れてしまっている。美しい個体ではあるが、ギャラクシーの名称とは別の販売名で売るべき魚と思われる。

まあ、こういう動きは人気品種の場合ベタに限らず、観賞魚業界にはありがちな話ではあるのだが‥‥。いつもながら商売のいやらしい部分を見てしまうのは気分が良くない。その不当表示的な名称は、タイのショップだけでは終わらず、それを買い付けている日本のブローカーや業者にも影響を与えている。ベタを扱っている業者の中には、さほどベタに詳しくなく買い付けたままの名称を疑いなく使用しているケースも多いようだ。そのためギャラクシーとは呼べないような魚が、その名称で日本に流通してしまう事になってしまう。

この個体もタイではギャラクシーの名称で販売されている。色彩的には非常に美しい個体ではあるが、体側の模様がもう少し細かくスポット状になっていればギャラクシーとしては高く評価されたであろう。

実際、そうした魚を日本のネットオークションなどで見かける機会も多い。これは確信犯的に人気品種の名前を利用する販売者側と、それを信じて購入してしまう購入側に問題があるのだが、是正するのも難しい面がある。今回は特にこうした問題を見かける機会の多いギャラクシーに関して書かせて貰ったが、同じプラカットだとサムライやアバターと呼ばれる高価格で取引される品種でも同じ様な不当表示的な魚は良く見かける。販売する側が一番悪いのであるが、購入する側ももっと勉強してこのような魚を掴まされないようにしたいものである。

スポットの数は多くないが、体側に散りばめられた光沢のある鱗が美しいギャラクシーである。風鈴やガラス細工のような涼しげなイメージの魚で、同じような個体がまとめて販売されていたので、固定率も高いと思われる。

さて、今回のコラムのテーマであるギャラクシーだが、出始めた当初と現在ではかなり変化を遂げている。体側の光沢のある鱗やスポット模様を増やそうと選別交配をしてきた結果、白い模様を持つ魚の固定率は高まって来たようで、レベルの高い魚を見る機会も増え、そうした魚の価格も手頃になって来た。と同時に、本来のギャラクシーの特徴である銀河模様ではなく星雲のように白い鱗が固まってしまった魚を多く見かけるようになったのである。こうした魚は確かにギャラクシーの系統なのであるが、もうすでに異なる品種と呼んでも差し支えのないところまで来ているような気がする。今回写真でも紹介しているので、実際に見て頂きたい。

体側の白いスポット模様が目立つギャラクシーのメス個体。このようなメスとオスを交配させても必ずしもギャラクシー模様にならないのが、ギャラクシーが珍重される理由である。それでも初期よりは出現率は高くなっているようだ。

改良品種と言うものは、絶えず変化していくものなので、仕方がないとは思われる。進化系も否定はしないが、基本となる特徴を持った魚を残す事も大切ではないだろうか?個人的には、やや暗めの基調色の体側にバランスよく煌く細かい鱗が散りばめられた個体がギャラクシーの最高峰だと思っている。

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