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山崎浩二のSmall Beauty World

第82回 ブルー&ブラック・プラカット”2020”

2022年7月 公開

体側のブルーの色彩が目立ち、ヒレのブラックとの対比が絶妙な個体。体型もがっちりしておりハーフムーン・プラカットとしても申し分ない。本品種は闘争性も強いようで、オスを2匹合わせると盛んにフレアリングを行う。

コロナによる渡航制限などのため、自分としては30年近く毎年訪問していたタイへの渡航が途絶えてしまい、2021年のタイのベタの情報をお届けする事が出来なかった。
そのため最後にタイを訪れていた2020年の9月までに撮り貯めていたベタの写真をこのコラムでも紹介させて頂いていた次第である。
この原稿を執筆している2022年5月の段階で、タイ政府はコロナによる観光客への規制を大幅に緩和した。
観光立国であるタイは、完全に経済優先に舵を切ったようである。と言うことで、やっとタイへ取材へ行ける運びとなった。

最初の個体と異なりブルーとブラックの面性が半々ぐらいの個体で、ブルー&ブラックとしては典型的な個体と言えるだろう。特に頭部から肩にかけての色彩バランスが非常に魅力的である。
ブラックが基調色となり、ブルーはアクセント的に疎らに入っている個体。これはブラック好きにはたまらない個体と言えるだろう。各ヒレのバランスも美しく、販売したら即完売の個体だろう。

渡航のためのタイランドパスの申請も承認されたので、5月中旬には1年7ヶ月ぶりにタイへ渡航する予定である。
これだけ長く渡航しなかった事は今までないので、どれだけタイのベタや観賞魚の市場が変化しているか楽しみである。
次回のこのコラムでは2022年のタイのベタの最新情報をお届けできるはずである。その前に2020年までのタイのベタ紹介の最後の記事を読んで頂きたい。

頭部から体側にかけて美しいメタリックブルーに染まった個体。尾ビレに入ったブラックのパターンも美しく本個体を魅力的にしている。各ヒレも大きく伸張しており、体系的にも非常にバランスの良い個体である。

今回紹介するのは、タイでブルー&ブラックと呼ばれるプラカットである。
一目見ただけで惹かれるものがあったために、すぐに品種名を尋ねたのだが、あまりにそのまんまの名前だったので、拍子抜けしてしまった。
この品種はプラカットだけではなく、同時にハーフムーンも作出されていたようで、両方とも販売されていたが、タイではプラカットの方がハーフムーンよりも人気が高いため、圧倒的にプラカットの方が数多くショップに並んでいた。
派手な色彩ではないのだが、黒と言うのは何故か魚好きを惹きつける魅力を持っているようである。

ブラックの基調色に背中部分に入ったシルバーブルーが良いアクセントになっている個体。一時期この個体に似たパターンの魚が出回った事があったが、本品種のプロトタイプだったのかもしれない。

ベタだけでなく、数多くの観賞魚も改良品種でブラックが作られている事から、その人気の高さは容易に想像出来るだろう。ベタでもかなり初期の段階でソリッドのブラックが作られて人気を博していた。さらにそこにドラゴン系統の血筋を入れたブラック・ドラゴンなどへと進化を遂げて、ベタの改良品種の中ではブラックは確固たる地位を築いていったのである。
ソリッドのブラックの頭部付近に金属光沢のある個体は、サムライと称され高価で取引されている。
このようにブラックを基調としたところに他の色彩をうまく組み合わせると非常に魅力的な魚となる。

全身がメタリックブルーに染まり、すでにブルー&ブラックとは言い難い個体であるが、面白いので参考として紹介しておこう。これはこれで選別交配していけば、面白い魚が出てくる可能性も高そうである。
ブルー&ブラックの特徴をよく表した美しいメス個体。本品種ではベタとしては珍しく、ちゃんとしたメス個体が同時に販売されていたので、繁殖を目的として飼育する方には嬉しいところである。

今回紹介するブルー&ブラックを市場で見かけるようになる前に、一時期そのプロトタイプと思われる魚が安価で出回った事がある。
今思うとブルー&ブラックを生産する過程で出来た選別漏れの個体だったかもしれない。
その魚はブルー&ブラックではなく、シルバー&ブラックと言う雰囲気の魚であった。
かなり品質にはバラツキがあったが、それはそれで魅力的であり、色彩違いを撮影して記録にはしてある。
ブルー&ブラックも品種としてのまとまりはあるものの、かなり表現型にはバラエティに富んでいる。そこは今回紹介する写真を見ていただければ、容易に理解して頂けるだろう。

美しいメタリックブルーの色彩が目立つブルー&ブラックのメス個体。メス個体なのだが、オス個体に負けない魅力を持っている。このような美個体を見たら、繁殖を狙うマニアは垂涎モノであろう。

このバラツキを面白いと感じるか、固定度が低いと感じるかは、人それぞれであろう。
ブラック寄りとブルー寄りの個体がいるが、どちらも魅力的であり、それぞれ出現率を高めるように固定していったら面白そうである。
このような新品種の場合、最初にリリースされるのはオスのみの場合が多いのであるが、間違いない本品種のメスも合わせて販売されているのは嬉しかった。
たぶんこの品種もあれから進化を遂げ、固定率が高まっていたり、また違う表現型が現れたりしている事だろう。
機会があれば2022年のブルー&ブラックも紹介出来たら面白いだろう。

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