アバターと言うベタの品種は、誰もが分かるように有名映画のタイトルから名付けられたものである。特にインドネシアで作出された品種に多いのだが、アバターの他ヘルボーイやアルマゲドンなど映画のタイトルから名付けられている。ベタと言えばタイと多くの人が思うように、長らくベタの本場はタイであった。ところが東南アジアで熱帯魚の養殖に関してはタイと双璧を成すインドネシアもベタにかなり力を入れており、多くの魅力的な品種を生み出している。
古くはクラウンテールもインドネシアで洗練された品種が元になっている。数年前にはタイでもインドネシア産のベタが持て囃された時期があり、その頃はインドネシア産のベタはインドーと呼ばれていた。インドーとはタイ語でインドネシアの事を意味しており、インドの事ではない。当時インド産のベタと勘違いしていた日本人もいたようである(笑)
現在ではインドネシア産のベタの良い部分を取り込んで、タイでは独自に進化させており、インドーの名前を聞く事は無くなっている。余談になるが、2022年にインドネシア産?の遺伝子組換えのベタが世界中に出荷されたようだ。
グリーンアイとかグリーンハルクと名付けらたその品種は、平常時でも眼が蛍光グリーンに輝き、体はブラックライトを当てるとやはり蛍光グリーンに光るようであった。日本では当然のように遺伝子組み換えの魚はご法度である。それならタイでその魚を記録として撮影しようと考え、知り合いに問い合わせてみた。
ところがタイでも遺伝子組み換えのベタは非合法だったようで、摘発される前に魚を入手したブリーダー達は廃棄処分にしたと言う話を聞いた。
ゼブラダニオやブラックテトラ始め、市場に山程遺伝子組み換えの魚が販売されているタイでも、国魚のベタに関しては特別なようである。
話は戻って、今回紹介するアバターと言う品種は、新型コロナに全世界が翻弄され始めた2020年頃には、ネットでその姿を見かけるようになっていたと記憶している。
その特徴的な姿が非常に魅力的な品種で、ベタ好きのマニアなら誰もが欲しがるような魚なのだが、当時はネットで少数が取り引きされているだけで、一般の市場にはほとんど流れて来なかった。そのため実物を目にする機会はほとんど無かった。
こうした魅力的な新品種や個性的な一品モノの個体は、かなり高価で販売されており、タイではショップよりもフェイスブック等のSNSを利用しての個人間のネット取り引きが主体のようだ。
と言うような理由で、当初はチャトチャックにあるようなベタの専門店でも実際の姿を見る機会は少なかったのだが、2022年頃からはショップで見かける機会が増えて来た。
とはいえ、希少で人気の高い品種なので、良い個体は店に並ぶと直ぐに売れてしまう状態で、なおかつ値段もかなり高価であった。
ブラックの地色に光沢のあるブルースポットが散りばめられたのがアバターの典型的な表現型であるが、基本的にダーク系のボディに光沢のあるスポットが多数バランス良く散りばめられていればアバターと呼んで差し支えないようだ。
基本はギャラクシー系の発展形みたいなものなので、ブラックギャラクシーやブラックスター等の名称で販売されている事もある。
2023年のタイのベタ市場でのアバターの様子であるが、盛んにブリーディングされた事で市場へ供給量も増えた事により値段も落ち着き、入手も難しくなくなっている。
ギャラクシーの時もそうだったのだが、ベタのスポット模様と言うのは固定するのが難しいようで、美しい個体を得るには多数の個体を繁殖させ、その中から良い個体を選別する必要がある。
そのため簡単には値段も下がらないのである。
ブラックとブルーだけだった配色に他の色も加わって、最近はより派手なアバターも作出されているが、今後どのように進化して行くのだろうか?